Level 888 N の活性エリアの屋台の写真
Level 888 N は、バックルームにおける 888 N 番目の階層である。
概要
Level 888 N は、現実世界における日本の、夏の縁日や祭りの会場の夜に類似している。現実世界のそれと大きく異なるのは、その長さ約 2 km のほぼ直線の祭り会場が、無限に長いか長大なループ構造の階層を、時速約 4 km ——人間の徒歩とほぼ同速——で、一方向に移動し続けていることである。
道幅約 10 m の、ところどころ剥げたアスファルトの道の両端に、無人の屋台がほぼ隙間なく並んでいる。気温 26 - 28 ℃ 、湿度 70 - 80 % で、これは日本の本州の夏の夜の屋外環境に準ずると言える。空には星が見えるが、天球は日本から見えるそれとは必ずしも一致しない。屋台の背後には高さ約 10 m の石垣があり、石垣の向こうの調査は未だされていない。
屋台は、日本の祭り (特に夏祭り) に出店しているものであればほとんどどんなものでもある——かき氷、たこ焼き、いか焼き、焼きそば、焼きとうもろこし、果物飴、冷えた飲料、玩具、お面、ひもくじなど。看板や商品に書かれている文字は、基本的に日本語で書かれている。
Level 888 N は、大きく「活性エリア」と「不活性エリア」に分けられる。活性エリアは食料確保などに有用であるが、不活性エリアは不可解な点が多く、進入は非常に危険である。
活性エリア
放浪者がこの階層に入る時、放浪者は必ず活性エリアの、進行方向とは逆の端に、進行方向を向いた状態で出現する (そのため、そのまま立ち止まっていれば不活性エリアに入ってしまう) 。活性エリアに入った屋台は、不明な手段で電源を得、照明が点灯し、機器が起動し、商品が用意される。屋台が不活性エリアから活性エリアに入る時、商品はぼやけたピントが数秒かけてそこに合うように、滲むようにその場に出現する。多くの場合、飴類やくじの景品などは屋台の全面に陳列されているが、かき氷やたこ焼きなどは調理前の氷やタネのまま店内の脇に置かれており、適切な形で摂食するには、放浪者自身で調理しなければならない。
商品には実体があり、別の階層へ持ち出すことも、飲食物であれば摂食することもできる。ただし、階層に入った時に放浪者が現れる場所の付近の食品は、出現してから約 30 分、高温多湿の環境で放置されていたため、そのぶん少なからず劣化している (かき氷屋台ならば、氷がかなり溶けてしまっているだろう) 。
不活性エリア
不活性エリアの探索はほとんど全く行われていない。活性エリアから約 110 m 以上離れてしまった物体は、ピントがぼやけるように、滲むように消失してしまう。唯一の例外は動物 (人間と、首のない人間を含む) で、動物が活性エリアから 110 m 以上離れてしまった場合、不活性エリアのさらに奥に向かうか、不活性エリアに "いつの間にか" 出現していた横道に入り、活性エリアにいる観察者の視界から外れてしまう。約 130 m より奥の空間は、光が異常なペースで減退しており、見通せない。
不活性エリアで消失した非異常な動物は、多くの場合、 Level 888 N の近くの階層や、日本の街の風景に類似した階層で発見される。その時、必ず不活性エリアに進入してからの記憶を失っている。また、それ以外のケースでは二度と発見されず、さらに確率の低いケースとして、 Level 500 N の、首のない住民として発見される。
備考
- 現実世界の日本の神社仏閣で、その場所の縁日の夜に道に迷った者が、この階層に移動してくることがある。「入ってきた時のまま立ち止まっていると、半永久的に失踪し得る」というこの階層の性質上、犠牲者は観測されている以上に多いものと思われる。
- 「この階層の道の中央を通ってはいけない」という噂があるが、それを破った結果、異常な現象が起きたという報告はない。とはいえ、現象に遭遇した人物は死や失踪によって報告できなかったのかもしれず、注意が必要ではあろう。
- この階層に、稀に首から上がなく、代わりに首に漆黒の断面のみがある人間がいることがある。人数や見かけ上の年齢などはタイミングによってまちまちだが、総じて夏めいた軽装で、浴衣を着用していることもある。発話はできないが、ボディランゲージでコミュニケーションが可能である。ほとんどは人間に対し特段興味を示さないが、不活性エリアへ誘おうとするような行動を取るものもいる。彼らは大抵、活性エリアの進行方向の不活性エリアから現れ、活性エリアでしばらく屋台を物色するような素振りをした後、再び不活性エリアへと消えてゆく。
- この階層がいつから「縁日続き」の異名で呼ばれているのか、知る者はいない。なお、「縁日」とは本来、日本の神道・仏教において、神仏が現世に縁を持つ日のことである。
入口と出口
階層への入り方
- 現実世界の日本の神社仏閣で、その場所の縁日の夜に道に迷うと、 Level 888 N に移動することがある。
- バックルームのどの階層でも、神道の鳥居をくぐると、 Level 888 N に移動することがある。ただし、神道との関連が見られる別の階層へ移動することも多く、確実な入口ではない。放浪者が夏めいた軽装であるか、浴衣を着ている場合、 Level 888 N に移動する確率は高まると思われる (下記の項目についても同様) 。
- Level 26 N で一方向に移動し続けると、強い目眩が起こった後、 Level 888 N に移動することがある。
- Level 42 N で「社」や神社仏閣を探していると、 Level 888 N に移動することがある。
- Level 178 N で、夜か夕方に客室の窓から外を覗き、夏祭りの光景が遠くに見えた場合、入口玄関から外に出れば、 Level 888 N に移動する。
- Level 500 N で、 TV やパソコンのディスプレイに縁日や夏祭りの映像が流れている部屋から退出するか、浴衣を着た住民を追いかけると、 Level 888 N に移動する。
階層からの出方
- Level 888 N の不活性エリアの奥へ進入すると、高い確率で Level 888 N の近くの階層や、日本の街の風景に類似した階層に移動する。後者の例は Level 42 N や Level 500 N など。ただしその時、必ず不活性エリアに進入してからの記憶を失う。
- Level 888 N の不活性エリアの奥へ進入すると、低い確率で半永久的に失踪する。奈落へ移動しているという説が有力視されている。
- Level 888 N の不活性エリアの奥へ進入すると、放浪者はごく低い確率で、 Level 500 N で「首のない住民」として発見される。
- Level 888 N で 1 - 5 時間過ごした後、活性エリアの進行方向とは逆の端から活性エリアを脱すると、 Level 42 N か、 Level 500 N に移動する (移動しない場合、すぐに活性エリア内に引き返すこと) 。この時、もし放浪者が Level 500 N から来たなら、必ず Level 500 N に戻る。
- 放浪者が Level 42 N で「社」や神社仏閣を探していて Level 888 N に移動してきた場合、活性エリアの進行方向の端から活性エリアを脱することで、 Level 42 N の「社」付近へ移動する。
- Level 888 N のお面屋の屋台で一番気に入ったお面を入手し、「そろそろ宿に帰ろう」と発声してから、活性エリアの進行方向とは逆の端から活性エリアを脱すると、 Level 178 N に移動する (放浪者が Level 178 N からこの階層に来た場合、このことを既に知っているだろう) 。

