Level 774 N

危険度: 1
空間信頼性: 安定
実体信頼性: 実体なし
情報提供待ち


危険度: 2
空間信頼性: 安定
実体信頼性: 実体なし
情報提供待ち


危険度: 3
空間信頼性: 安定
実体信頼性: 実体なし
情報提供待ち


危険度: 4
空間信頼性: 安定
実体信頼性: 実体なし
情報提供待ち


危険度: 5
空間信頼性: 安定
実体信頼性: 実体なし
情報提供待ち


危険度: n/a
空間信頼性: 安定
実体信頼性: 実体なし
情報提供待ち

評価: +15+x
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扉を開けて、外の世界に出ていくように。

カーテンを捲って、窓から外を覗き込むように。

私はいつだって、外の世界と繋がっていた。

この部屋とこのPCが、私の全てだった。

Level 774 N


危険度: 2
空間信頼性: 安定
実体信頼性: 実体なし
情報提供待ち

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Level 774 N。

Level 774 Nとは、バックルームにおける774 N番目の階層である。

放浪を続けてどのぐらいたっただろう。
この世界に、心休まる場所は存在しない。
部屋の中でも外でも、腰を下ろしたとしても、
私にあるのは孤独と喪失感だけだった。

そのはずだった。

概要

Level 774 N は、一般家屋に類似する内装が無秩序に接続された空間である。ときおり出現する窓からは外の景色が見え、これまた一般的な庭のような風景に雨が降り続いている様子がみてとれる。なお、直接外へ繋がるような出入口は見つかっておらず、窓もなべて開閉不可能となっている。

部屋のなかはリビング、ダイニングなど一般家庭における様々な種類の部屋が存在する。それぞれが通常の廊下や階段などで接続されているほか、どこかに繋がっているように見えた階段が壁で塞がれていたり、ドアを開けても壁があるだけなど、完全に無作為に部屋どうしが接続されている様子がわかる。その位置や中身は違うが一見すると同じ見た目の部屋に接続されることも。

窓からは水色の光が差し込んでおり、場所によっては薄暗く感じる。部屋に付けられているシーリングライトは使用不可である。各部屋にアナログデジタル問わない時計がおかれていることがあるが、全ての時間の表示は一致しておらず、カレンダーの表記も2007年から2021年まであらゆる年数が記されており、時間軸の判別には至らない。が、後述する家電製品は、稀に使えるものがある。

この階層において実体の存在は確認されていないが、至る所に人間の生活の痕跡が残されていることが1つ特徴として挙げられる。キッチンの水切りラックには食器が置かれており、ダイニングの端には書類が積まれ、リビングの窓際には部屋干し用の物干しに洗濯物がかかっている。それらの量などから、ここには4人程度の家族が住んでいたのだろうと推測できる。

どこもかしこも水色の光で満たされた部屋。
透明で、無暗に触れれば壊してしまいそうな儚い空間。
人の痕跡があるように見えても、私はただ寂しいままだった。
こんな場所じゃ、人の温かみは感じ取れなかった。

イヤホンを忘れた帰り道みたいに息苦しくて。
こんな場所にはいられなくて、私は扉を開け続けた。
冷たい空気を辿って、外へつながる道を探し続けた。
私の帰るべき部屋はここではないから。

各部屋

どの扉を開けても別の部屋にしかたどり着かないこの階層において、部屋の中に自然な形で設置されている生活家電などは稀に通電し使えるものがある。ここで生き延びるために有用な物品も存在するため、判明しているものを記載しておく。ただし部屋や物品の見た目が同じであっても起動出来ない場合もあるので、注意が必要である。

リビング

リビングの端にある学習机には使い古された見た目のランドセルと、小学生向けの教科書が棚に並べられている。教科書は2年生もしくは3年生の場合が多く、判別できない数字により何年生向けか不明なこともあるが、中身は全て白紙。ランドセルは中身が空で、使いづらいがバックパックとして利用できなくもない。

またこの部屋に存在するテレビと掃除機は、通電する場合がある。テレビはいくらチャンネルを切り替えても、画面は激しいデータモッシュにより映っている人物や番組の内容が確認できないほどに荒れている。起動直後は大音量でノイズ音が走るため、鼓膜を損傷する危険がある。

掃除機の方は起動すると、壁を1枚隔てたような妙に曇った吸引音を発する。重たいキャニスター式のため、回収には適さない。

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キッチン

キッチン

キッチンとみられる部屋に存在する冷蔵庫は、通電する場合がある。冷蔵庫の扉を開けると庫内のランプがつき、中にラップに覆われた人ひとり分のサラダ、味噌汁、炊けた白米が入っていることがある。

またオーブンレンジも通電する場合、何らかの物品を投入しスタートボタンを押すことで、約5分後に調理された具のない即席麺に変化していることがある。代わりとして投入する物品は、庫内に収まるものであれば種類を問わない。

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洗面所

洗面所

洗面所とみられる部屋に存在する洗濯機は、通電する場合がある。スタートボタンを押し、起動後に30分待つことで、内部に水色を基調としたジャージが上下セットで出現する。洗濯後なので湿っているが、衣服として問題なく使用できる。

寝室

寝室とみられる部屋に存在する古めかしいパソコンは、通電している。起動後はwindowsxpのものに酷似したログイン画面が表示されるが、パスワードの手がかりがないためログインはできない。一定回数以上誤ったパスワードを入力すると、ダイアルアップ音のようなノイズ音が鳴りブルースクリーンが表示され、そのパソコンはもう起動させることができなくなってしまう。

ログインに成功した事例は報告されていないため、もし先に進めたことがあれば情報提供をお願いしたい。

その部屋は、"家"の中でいちばん凍えていた。
足の踏み場がないほどに、服やゴミが散乱していた。
人が居なくなった後のような空虚な寂しさの中で、
1台のPCだけが息をしていた。

廊下

長くない廊下に出ると、ある時扉の前に、トレイに並べられた定食が置かれているのを目にすることがある。炊かれた白米、サラダ、みそ汁からなり、少し時間は経っているが問題なく食べることができる。トレイの上には他にメモ用紙が乗せられており、手書きの字で「元気になったときに食べてね」と書かれている。

トレイが床に置かれている扉の先は、寝室とみられる部屋と似たような見た目だが、雰囲気が大きく異なる。一部の棚にはたくさんの美少女フィギュアやキャラクターのマスコット、ゲームソフトなどが並べられており、床にはコード類や服が散らかっていてあまり足の踏み場がない。また壁際のハンガーラックには水色を基調とする、性別を限定しないジャージやパジャマなどがかかっている。

ダイアルアップの音がけたたましく鳴り響く。
角張ったベゼルの、分厚いデスクトップ。
その小さな画面の中に。
そこに、世界を見いだしていたことを、私は思い出した。

果てしなく、どこまでも続く世界は窮屈で。
この箱の中にいることだけが、私にとっての解放だった。
部屋は薄暗くて寒くて。
どこよりも居心地が良かった。

うっすらとホコリが積もったキーボードに触れると、
十代のころ、深夜の決まった時間に集まって。
インターネットのみんなと繋がっていたことを思い出した。
それと、外の世界の全てを拒絶していたことも。

そして、画面にブルースクリーンを映し出して絶えずダイアルアップ音を鳴らす卓上のパソコンの前に、大量の鳥の羽が積もっている。真っ白な鳥の羽は部屋中を舞っており、そのいくつかは部屋の窓やパソコン周辺に張り付いている。その机の上からその足元の床にかけて羽が積もっている様子は、まるで人間が大量の羽と化して消えたかのようにも見え、ここを長いこと放浪していた人間の末路や、パソコンのログインに成功した人間の行く末であるとの見解がしばしば示されている。

入口と出口

階層への入り方

  • 現実世界 で自宅にいるときに不明な原因で Level 774 N に外れ落ちることがある。夜遅くに自宅に帰宅した人物による報告が相次いでいる。
  • Level 500 N で団地内の誰も居住していない部屋で長時間過ごしていると、気づいた時には Level 774 N に到達している。

階層からの出方

  • Level 774 N の寝室にあるものを物色し続けていると、 Level 132 Nに到達する。

不思議と温もりの漂う水色の部屋で私は、
もう戻らない過去に手を伸ばす。
ちらちらと震える色褪せた液晶モニターには、
ログイン画面が映し出されていた。


こんな世界から抜け出すために。
苦しみから解き放たれるために。
吸い寄せられるように、私の指は動く。
私にとって、間違いなくその場所は。

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ここは。
天国だった。



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