Level 61.7 N の空き地を写したと思しき画像。
Level 61.7 N とは、バックルームにおける 61.7 N 番目の階層であり、Level 61 N の副次階層である。
概要
Level 61.7 N は、内部に点在する広大な空き地同士が、複数の狭小な路地により接続されているといった様相を呈する空間である。空き地は基本的に別の空き地と2つ以上つながっており、行き止まりも一定数存在するが、放浪者の間では階層全体の広さに際限はないとされているようである。
Level 61.7 N では、気温は10℃前後を維持しており、少し寒い。そのため、薄着では身体がかじかむだろう。防寒着を着込むなどして事前に対策しておく事が望ましい。時折路地から吹き込んでくる生暖かい風により冷えた身体を温める事が出来るが、基本的に階層内は無風状態である事が多い。なお、空気は乾燥している。
Level 61.7 N には太陽が存在するが、これは時間経過によって沈む事は無く、常に低い位置に留まっている。とはいえ、太陽が建物の陰に隠れてしまっているためか階層内は若干薄暗く、路地内においては主階層特有のLED照明が無い事も相まって、それがより顕著である。そうは言っても、光源の持ち込みが必要となる程ではないとされている。
しかし前述したように太陽は天頂付近に存在していないにもかかわらず、暗い地上とは対照的に、何故か天上は明るい様相を保っている。雲は棚引き、薄日が雲間から漏れており、建物は地面に影を落としている。通常は建物によって遮られているものの、建物の配置によっては隙間から弱々しくも柔らかな日差しが薄い雲を通して空き地の1区画に降り注ぎ、凍えた地面を仄かに温める事がある。
天気は基本晴れで安定しており、雲量は変化する事があるものの降雨や降雪現象は見られない。自身の頭上を仰ぎ見れば、薄明るい色彩を誇る空模様を拝めるだろう。建物等と比べると目立ちにくいため、何故か控えめな印象を受けてしまう。
Level 61.7 N では、後述の現象が発生する可能性があるものの、これといった危険性は見られておらず、後述の物品が入手可能である。
なお、比較的安全かつ到達する場所が概ね同一の地点(後述する看板のある、比較的広い空き地)であるためか、この階層では放浪者の集団がいくつか形成される事がある。しかし得られる食料が後述の物品に限られてしまうため長期滞在は厳しく、その殆どが数日から数週間のうちにこの階層を後にしている。
空き地
四方を後述の建物に取り囲まれた長方形のスペースである。見回せば、普段は見られないような建物の壁面が剝き出しになっており、各々が自身の持つやや黒ずんだ肌を覗かせている。その規模は大小(広狭)様々であるが、基本的にぐるりと走り回れる程度の広さは保たれており、規模の小さい空き地であっても圧迫感を覚えるほどではないだろう。そのため、この階層では比較的開放感あふれる空間となっている。
空き地の地面は舗装されておらず、凸凹が激しいため少々歩きづらい。また、極稀にだが重機が通ったようなタイヤ痕が地面を這いながら建物から建物まで真っ直ぐ続いている事がある。
空き地内を散策していると、「売土地」「売物件」「好評分譲中」などと大きく書かれた看板が、控え柱を含めた4本の脚で目立つ所にポツンと佇んでいる光景に出くわす事があるだろう。
加えて、こうした看板には殆どの場合、社名・住所・電話番号・URLといった内容が隅の方に小さく書かれている。社名は「○○○不動産」という形式で一貫しているが、○には文字が無作為に当てはめられるのか、中には「ゐゑで不動産」などと現代仮名遣いでは用いられない仮名が使用されている、支離滅裂なものも少なくない。さらに、書かれている住所(所在地)はどこにも存在せず、電話番号とURLもランダムな文字列になっているようで、活用する試みは全て無駄足に終わってしまう。
看板には、前述した文字内容と併せて現在地と周辺の建物の配置を示す地図が記載されている事もある。
この看板の内容は信憑性に極めて欠けているとされており、放浪者はこれを信用するべきではない。但し、地図の内容に関しては例外であり、多少の誤差はあるもののある程度信頼の置けるものと評価されている。そのため、道に迷った際は地図付きの看板を探すのも1つの手かもしれない。一部の放浪者はこの看板の内容を総じて「宇宙人か何かが現実世界の看板を真似たよう」と形容している。
他にも、縞模様を描くように反射シートが巻き付いているパイロン1や警告色に身を包んだ工事用フェンス、隙間風になびくのぼり旗2といった特徴的な物品が発見される事もある。
空き地では、後述の物品を入手出来る。地面に半ば埋もれているので、注意深く地面を観察するよう意識していれば比較的見つけやすいだろう。但し、タバコの空箱・吸い殻や空き缶といった特に有用性のない物品も同程度地面に埋まっているため紛らわしい。物品についての詳細は"物品"項を参照されたい。
なお、主階層と異なり小規模な畑やテントセットなどは発見されていない事から、主階層に比べて資源に乏しいものとされている。
路地
後述の建物と建物に挟まれた細いジメジメとした通路である。路地の幅は広くてもせいぜい1m弱であり、酷い場合は数cm程度しかなく、通れるものと通れないものがある。とても通れないような幅の路地であっても、隙間から覗けば向こうにある空き地の姿を辛うじてだが確かに捉える事ができる。その全長には若干のばらつきがあるものの、大体15mから25m程度に収まっているようである。
空き地とは異なり、路地の地面はアスファルトで舗装されている場合が多く、躓く心配がないので歩きやすいだろう。しかしながら、路地内を歩く際は、常に薄暗さと湿気に付きまとわれる事となる。路地では後述の物品を含めたいかなる物資も手に入らないため、長居は無用だろう。
路地内を通行していると、稀に湿った熱風が撫でるように頬を掠めていく事がある。なお、これは道路幅が広い路地ほど強く吹くようである。
両脇にある建物の壁面からは後述する設備等が路地へ突き出ており、これらはしばしば放浪者の通行を妨げる事がある。また、路地では度々電柱が発見されており、これらは基本的に建物同士を自身から延びる電線で繋ぐ事に従事しているようである。しかし極稀にどの建物とも繋がっていない電柱が発見される事もあり、その電線は千切れた先から曲がりくねって地面に横たわっていたという。なお、こうした電柱に肌で直接触れたとしても感電の恐れなどは無い。
建物
階層内にて多くの場合連なって存在する、古びた外見の一軒家である。その壁面には室外機や給水機、それらから伸びる管といった設備が取り付けられている。これらは密集する事で"閑散とした住宅街"のイメージをまさしく体現している。
以前内部への侵入を試みた放浪者が数人存在したが、空き地方面にも路地方面にもこれといった出入り口は一切見つけられず、壁面に散見する窓は完全に施錠されていたため侵入が困難になり結局失敗に終わったようだ。その上強行突破を試みた者は全てそのままLevel 60 N へと移動してしまったため、侵入に成功したという事例は現在に至るまで存在していない。また、前述したように建物への侵入の試みは危険な階層への外れ落ちを招くため、断じて避けるべきである。
外装は地味なものが殆どであり、空き地と路地を形成する"壁"の機能を果たすものとして暗く完全に溶け込んでいる。例外も存在するが、以前現実世界におけるクリスマスシーズンに単独でこの階層を訪れた放浪者が、LEDによる派手な装飾が施されている建物に遭遇した程度である。なお、この放浪者はその後Level 291 N の公園に到達している。また、同様の報告がなされた時期がいずれもクリスマスシーズンと被っている事から、遭遇する確率と訪れる時期との関連性が指摘されている。確証はないが危険な階層への外れ落ちを招く恐れがあるため、クリスマスシーズン中は可能な限りこの階層に到達しないよう心掛けるべきである。
現象
空き地から一旦路地に入りまた元居た空き地に戻る際、稀に空き地に何らかの変化が生じている事がある。生じる変化には些細なものから広範囲に及ぶものまで幅広いものがある。
現象による変化の報告例:
- 何もなかったはずの空間に、工事現場に設置されているような仮設トイレが出現していた。
- 地面に、人力では到底実現できないほど深い穴が掘られていた。
- 凹凸の激しかった地面が整地され、平坦になっていた。
- 何もなかったはずの空間に、放浪者の足場を埋め尽くすような形で、地面擦れ擦れの高さから水平に鉄筋が格子状に空き地の隅々まで張り巡らされていた。
- 何もなかったはずの空間に土台が築かれており、そこから草木が生えるように数本の細くも頑丈な柱が天に向かって真っ直ぐ、規則的に配置されていた。これらは木でできており、いずれも加工によって角柱となっていた。
- 気づけば「安全第一」と大きく書かれたシートで覆われた、巨大なシルエットが自身の背後にそびえ立っていた。その高さは周囲にある建物を優に超えており、しばらくその迫力に圧倒されてしまった。冷静になってこのシートを捲り、恐る恐る内部を覗いたところ、鉄パイプと思しき資材で組み立てられた足場がシートの縁を内側からなぞるようにびっしりと設置されていた。3
中でも最も遭遇例が多いのが、現象による変化の報告例でも示した工事現場に設置されているような仮設トイレが出現しているというものである。これは殆どの場合ボックス型となっており、便器には和式と洋式の2種類がある。実際に使用した放浪者によると、非水洗式4であるが換気扇が機能しているためか、特に悪臭を感じる事なく快適に使用できるようである。
これまでに現象との遭遇が放浪者に実害を与えた事例は存在しないが、例外として「戻ろうとして振り返ると一戸建ての住宅が路地の一方の出口を塞ぐように丸ごと出来上がっていて、通れなかった。」という報告が1件のみ寄せられている。5これも直接的な被害が出た訳ではないのだが、元居た空き地に戻る際は極力現象に注意を払うべきだろう。
現象が発生したと言ってもLevel 0 に代表されるような非線形空間6らしい変化が生じた事例はなく、また空き地ではなく路地で現象が発生した事例もないが、念のためこの階層の空間信頼性は「不安定」とされている。
物品
餅・銭貨
それぞれが1つずつ入った詰め合わせ。大きさはおよそ拳大で、包装紙で袋詰めにされている。空き地を散策していると地面に半ば埋もれた状態で発見される事がある。空き地1つにつき平均して5つほどが散らばって放置されている。
銭貨は現実世界のものだが、バックルーム内においては使い道が限られてしまう。一方餅は、生では硬く食用には適さないが加熱すれば立派な食料となる。
なお、この物品が大量に発見された空き地では、前述の現象が発生する可能性が比較的高い。前述したように、現在に至るまで現象による被害者は出ていないが、用心するに越した事はないだろう。もちろん、この物品が発見されなかったという事はその空き地で現象が発生しないという事の証明にはなり得ない。
この物品のルーツについて、これは日本の上棟式7特有の儀礼の一つである散餅銭の儀8に由来するのではないかとしばしば放浪者の間で考察されている。しかし、実際のところは定かではない。
備考
- 過去に寄せられた報告例として、「建物の窓に電気が灯っていた」や「路地の奥に揺れる人影が見えた」といった不可解なものがあるが、これらは何度か瞬きをしたり目を擦ったりする事でたちまち消えてしまったという9。またその際報告者は「何とも形容しがたい喪失感を覚えた」とも語っている。その他、話し声や物音などは放浪者のものを除いて現在のところ確認されておらず、階層内は依然として沈黙を貫いている。
入口と出口
階層への入り方
- Level 61 N で、空き地にある廃材と石材を枕にして眠りにつき、自然に目を覚ますといつの間にかLevel 61.7 N に到達している。
- Level 90 N の表層で一定時間過ごすと、突如として Level 61.7 N に到達する事がある。
- Level 845 N で、"朝"を迎えた路地を進んでいると路地の端に辿り着く事無くそのままLevel 61.7 N へ到達する事がある。
- Level 300 N の浴室で、液状のコンクリートが溜まった浴槽を発見し、その液面に接触するとLevel 61.7 N へ到達する。
階層からの出方
- Level 61.7 N の路地で電線の千切れた電柱を見つけてそれに触れると徐々に濃い霧が路地内に立ち込めていき、霧が晴れた頃には Level 404 N の草原の1区画で、先ほどの電柱と似たような様相を呈する鉄塔に触れている。
- Level 61.7 N で、窓を割ったり壁を破壊するなどして建物への強行突破を試みると Level 60 N の鉄骨の上へ到達する。
- Level 61.7 N でLEDによる派手な装飾が施されている建物に遭遇すると、気づいた時には Level 291 N の公園でイルミネーションライトが巻きついている樹木にもたれかかっている。詳細は"建物"項を参照の事。
- Level 61.7 N で、現象により出現した仮設トイレで用を足していると、いつしか Level 419 N の個室トイレで用を足している事がある。
- Level 61.7 N で「現象により出現した建物に向かって外れ落ちたところ、 Level 720 N の一軒家に面した道の上へ到達した」という報告が1件のみ存在する。再現性はかなり低い。

