Level 577 N 内部の廊下。
Level 577 N とは、バックルームにおける 577 N 番目の階層である。
概要
Level 577 N は、現実世界における日本の小学校のような空間が無限に続いている階層である。Level 577 N は際限のない長さの廊下と、一定間隔で配置された教室や階段、トイレで構成されている。階段によって上または下の階に移動可能だが、移動先もまた先ほどの階と同じ構成であり、水平、垂直ともに行き止まりは確認されていない。
時間帯は夜で固定され、外はざあざあと雨が降りつけている。やや肌寒く湿気が高いものの、長時間の生存や睡眠に支障を来すほどではない。校舎内部は無音で、強まりも弱まりもしない雨音だけがガラス窓を隔てて響き続けている。
主要な区画
Level 577 N を構成している各区画は、いずれも小学校で見られるような空間として妥当なものである。校舎内部が縦横どちらにも無限の空間を持つのに対し、窓の外を見ると一面に校庭が広がるばかりで他の建物は一切存在しない。どうやら、Level 577 N に校舎は1つだけのようである。
教室
大抵の場合、あなたは教室内部の席に座って突っ伏した状態で、この階層に辿り着いたことに気付くだろう。外を見ると、土砂降りのなか校庭が無限に続いている。あなたがどれだけ階を上下に移動しようと、窓から見える景色は校舎3階からの高さで固定されている。雨音もまた、地面に降り付けるものは小さく聞こえ、恐らく屋上に降っているであろうものは天井越しにやや大きく聞こえる。
どの教室も直前まで使用されていたかのような痕跡があり、机の横に掛けられた給食袋や水泳バッグのほか、掲示板やプリントなども多く見られる。電気を付ければ床の踏み固められた埃や消しゴムの細かい欠片なども目立つようになり、夜が明ければこの教室は再び賑わうのではないかと思えるほどである。
各教室の様相は、まさに授業の最中だったと思われるものや、机がすべて後ろに下げられ掃除用具が散らばっているものなど様々である。いずれにせよ、現実世界の小学校でなり得る状況から大幅に逸脱するものではない。給食の最中だったかのような教室も存在する。大抵の食品は食べかけであり冷え切っているが腐敗はしておらず、問題なく摂食可能である。
学校名が記載されているべき箇所には、「底1」とだけ書かれている。また、学年と組の表記は5~6桁ほどのランダムな数字になっている。階を移動すれば学年を示す数字が、廊下を歩けば組を表す数字が規則的に増減するため、疑似的な座標として現在位置の把握に活用できる。
教室はこの階層で最も長く留まることになる区画である。条件の良い教室を見つけたら、電気を付け、カーテンを閉め、室内を快適に保つと良い。周りの教室から物資を集約しても良いだろう。
廊下
Level 577 N における主な移動経路で、他すべての区画と接続されているハブ的空間。窓が開いていることがあり、全体的に教室より気温が低い。廊下の奥の方はあまり遠くまで見通せず、淡く濁って曖昧になっている。他区画の配置は規則的であり、階段から階段までの間には4つの教室がある。また、トイレは階段のはす向かいに設けられている。
後述する実体の通り道でもあるため、ここに長く留まることは推奨しない。
階段
階同士を上下に繋ぐ接続経路。廊下と同様、上下どちらを見ても際限なく同じ構造が続いている。踊り場の壁に階数を表すプレートがあるが、これは各教室の扉上に掲げられている、学年を表す数と一致する。
実体が侵入することもなく安全だが、それは教室も同じことである。気温や湿度、設備など、あらゆる観点で教室の方が快適なため、この区画に留まるメリットは薄いだろう。
トイレ
階段のはす向かいに設けられたタイル張りのトイレ。設備は古いがよく掃除されており、放浪者に落ち着きをもたらすだろう。水道は正常に機能しており、清潔な環境で排泄や手洗いができる。教室を十分に探索できておらず、水の貯えが不十分な場合、洗面台から出る水を頼っても良いだろう。恐らく飲用ではないが、摂取による健康被害は報告されていない。
校庭
各区画に取り付けられた窓から見ることのできる、雨でぬかるんだ土が無限に広がる空間。あなたが窓を乗り越えて校舎の外に出た瞬間、校舎内の無限の空間から一時的に解放され、校舎3階相当の高さに位置することになる。すなわち、校庭に降り立ちたければ、相応の高さから安全に着地するためのロープ等の装備が必須となる。
未解明な部分の多い区画だが、遊具や物品、建物の類は一切存在せず、安定しない視界と足元に苦戦する傍らで雨に体温を奪われ続ける。校舎を脱出したことのある放浪者達の総意としては、当区画は探索の労力に見合わない領域である。
校舎は外から見た際には何の変哲もない3階建ての姿をとっており、土間などの出入り口に相当するものがないため、戻る際には1階の窓から侵入することになる。帰還後にあなたが観察を途切れさせた一瞬の間に、窓から見える景色は3階からのものに戻っている。
実体
魚
階層内の廊下は、多種多様な魚がまるでそこが水中かのように泳いでいる。方向は常に一定(教室内部から見て右)であり、放浪者のことを認識しているような素振りはなく、廊下以外の区画には侵入してこない。いずれも実際の魚より緩慢で、走って逃げたり、追いかけたりすることができる程度のスピードで泳いでいる。実体は遊泳に際して音を出さないため、廊下に侵入する際は安全確認を欠かさず、魚が泳いでくる方向を定期的に警戒すること。
魚と放浪者が接触すると、お互い干渉できずすり抜ける一方で、放浪者には「魚と接触した部位が水を分泌し続ける」という特異な影響が現れる。放浪者の水分が漏れ出ているわけではなく、水が何を起源としているかは不明である。10~50分ほどでこの現象は自然に収まるが、特に口元への接触には注意すべきである。最大で50分間、口元に水が生成され続けることになるため、呼吸が阻害されるおそれがある。
魚と接触した際にはひんやりとした感覚が走るのに対し、分泌された水はほのかに温かい。飲んでも悪影響は無いことが確認されているが、特段水に困らないLevel 577 N で、わざわざこの現象をあてにする必要は無いだろう。
大型の魚
Level 577 N 内部の写真。教室の扉から大型実体を確認可能。
しばしば、通常あり得ない大きさの魚が通過することがある。廊下に出たままでは接触は避けられず、必然的に他の区画への避難を余儀なくされる。所感は観察者によってまちまちで、雄大で好感が持てるとする者も、多大な恐怖を覚える者もいる。いずれにせよ、巨大な生物を間近で目撃した時の反応の域は出ておらず、特殊な精神作用はないものとされている。
接触報告は今のところ存在しない。単純に接触事例がないのか、接触時点で報告不可能な状態に陥ってしまうのかは分からないが、実体の目立ちやすく緩慢な性質を考慮すると、恐らく前者だろう。
注記
総じて空間は非常に安定しており、確立されたパターンからの逸脱がほぼ見られない。そのため、階層から意図的に外れ落ちるのにも、取っ掛かりとなる異常なシンボルを見つけるのにも長い時間が掛かる。報告によると、階段を上れば上るほどに他階層への移動の足掛かりを発見しやすくなるようである。確実性が立証されているわけではないが、参考にして欲しい。
備考
- 時折、机が1つを除いてすべて下げられており、残った机に給食が置かれている教室が見つかる。この給食は例外的に腐敗しており、摂食に適さない。
- 教室内のノートや掲示物を調べると、各生徒の氏名や人間関係までもがありありと伺える。しかし、これらは各教室同士で全く関連せず、現実世界ともリンクしていない。教室のことは必要な物品を入手するための区画だと考え、関心を切り離すべきである。
- 校歌が掲示された教室もあるが、これもまた各教室で歌詞が異なる。ただし、「学校名として記載されていた『底』が、歌詞中では何らかの悪性存在として扱われている」という点が共通する2。
- 稀に、巨大なリュウグウノツカイの胴体らしきものが廊下を占有している階がある。進行方向に動いているようには見えるがどれほど待っても尾ビレは現れず、実質的にそのフロアは探索不可能である。
入口と出口
階層への入り方
- 階層問わず、降雨の影響から逃れるために一時的に屋内に避難(いわゆる雨宿り)し、そこで睡眠を取ると目覚めた時にはLevel 577 N だった、という報告が多い。
- Level 113 N の屋内で休息を取っていたところ、下方に強く引きずり込まれるような感覚と共に意識が混濁し、Level 577 N に到達していた、という報告がある。
- Level 860 N 下方の薄暗いフロアで、青色の壁紙が貼られた壁にもたれかかって雨音を聴いているとLevel 577 N に外れ落ちることがある。しかし、Level 860 N 内のそのようなフロアには失踪の危険が伴うため、推奨できない。
階層からの出方
- 稀に、この階層に似合わないほど明るく、窓が大胆に開け放たれている教室が見つかる。廊下や隣の教室からは相変わらず雨しか見えないのに対し、この教室の窓の向こうは朝靄が広がっている。この教室が明るいのはそのせいである。あなたが直感に従ってその窓を乗り越えれば、そこは既にLevel 27 N である。
- 教室の机の上に稀に置かれている魚のホルマリン漬けの容器を持ち上げて観察していると、いつの間にかLevel 28 N に移動している。
- 教室の1つが土間に置き換わっていることがあり、そこから外に出るとLevel 513 N に到達する。現在までに報告は2件のみで、どちらの放浪者も階段を下り続けていたと証言している。

