Level 47 N 海面付近で多く見られる光景。
Level 47 N とは、バックルームにおける 47 N 番目の階層である。
概要
Level 47 N は、コンクリートと鉄でできた細い通路と、中空に浮かぶ鉄製の錆びた階段、そして水平線の彼方までどこまでも広がる青い海で構成される空間である。気温はおよそ25℃前後、湿度はおよそ65%で安定しており、比較的過ごしやすく爽やかな気候となっている。歩みを止めて空を見上げれば燦々と輝く太陽が見え、また常に緩やかな風が頬を撫でるように過ぎ去っていく。この風は上空では若干強さを増し、心地よい涼しさを感じさせる。海は見渡す限りどこまでも続いており、他に陸地は見当たらない。降り注ぐ太陽の光に染められた水は生ぬるく、時折見られる魚も亜熱帯のものであるように思える。
海面付近
海面付近には、主にコンクリートで構成された幅の広い通路が横たわっている。これは東西方向に何処までも続いており、終わりが見えたとの報告は存在しない。地面は時折寄せくる波に洗われ湿っており、取り残された砂や貝、海藻の塊がちらほらと見受けられる。また通路脇には倒れかけ、斜めになった電柱とたわんだ電線が力なく立っており、風を受けハンモックのように揺られている。電線は危険なので触れないように気をつけるべきであろう。風に煽られた波がコンクリートに打ち寄せて過熱を防いでいるため、素足でも比較的快適である。道の脇には稀に空き缶、割れたビン、中身の無い貝殻、双眼鏡、木の枝、ゴムサンダル、空のペットボトルなどが流れ着き、また波間に消えてゆく。
通路両端から海を覗き込めば、すぐ下に揺れる海底が見えるだろう。砂や小石、貝殻などが堆積してできている海底は足を踏み入れればぬるい水と柔らかな地面の感触が伝わる。石や貝殻は皆波で削られて丸みを帯びており、何か突起などで怪我をする恐れは無い。この海底は緩やかな傾斜になっており、通路からおよそ1kmほど離れた地点で深度は人の肩程となる。方向感覚の喪失、体温低下による行動困難などを防ぐため、海に深く分けいる行為は慎むべきである。
無人駅
Level 47 N の通路では、ごく稀に線路の無い無人駅が見られる。これは全ての例において小さな屋根とベンチ、駅名標のみの簡素なものであり、休息所として有用である。屋根は潮風に晒されて錆びつき、それを支えるポールは打ち寄せる波でボロボロである。しかしその見た目に反してこれを破壊したという報告は無い。屋根は日差しを防ぐのに役立つ。Level 47 N は気候こそ心地よいものの常に太陽光が降り注いでおり、紫外線などによる身体的被害を負う可能性があるため、このような日陰でこまめに休息をとるべきであろう。屋根下にはベンチが置かれている。大まかにU字の形をとった鉄の足と、その上に力なく固定されたプラスチックの板という簡素なものであるが、少なくとも地べたに座り込むよりはよいだろう。さらに、ベンチの上下には食料や水筒、スマートフォン、帽子などの有用な物品が置かれていることがある。見つけた場合は回収することをおすすめする。また駅名標は、平仮名のような形をした不明な文字が刻まれていることがほとんどであり、読解に成功した例は少ない。現在存在する唯一の読解報告は、次の駅を示す矢印の箇所に「みんとち」と読める文字があったという一つだけであり、またこの文字列に意味は無いとされている。
階段
Level 47 N の階段。
Level 47 N の中空には、螺旋状の階段が浮いている。禿げかけの白いペンキで塗装された、錆び付いた鉄で構成されており、歩く度に軋む音が鳴り響く。この階段は上方向に何処までも続いているように見えるが、下方向は海面からおよそ50~100mほどの地点で唐突に途切れている。この高さでは風が海面付近と比べてやや強まり、涼しさを届けるようになる。髪はたなびき、長時間風と相対していれば目から涙が零れるだろう。この階段から身を乗り出して下を覗けば、コンクリートの通路と、まばらに並ぶ電柱の足元を波がさらっていく様子が眺められる。電線は揺れ続け、風を切る音が微かに聞こえる。通路は波に隠れ、姿を現し、水の浸食作用によってその身を少しづつ擦り減らしていく。高所から見たとて水平線の先には何も無く、反射した太陽の光が踊るのみである。潮の匂いは全てに染み付き、ふと髪を触れば海の手で撫ぜられたかのようなベタつきを感じられるはずだ。
階段を上に昇っていくと、ある時点で一際強い風が吹いて体のバランスを崩す。思わず手摺を掴むと目の前の空気に水面と同じような反射光が踊るのが見え、そこに水を幻視させる。目を擦れどそれは消えず、煌めきはただ増していくのみである。
階段を下に降りていけば、それはやがて途絶える。直下には通路が見え、もし飛び降りたならそこに叩きつけられることは確実である。手すりの断面はまるでちぎれたかのようにぐしゃぐしゃとしており、触れると鋭い部分で手を切る可能性がある。また最下部の板は揺れが大きく、風や体の震えなどによって大きな振動が発生する可能性がある。近寄らない方がよいだろう。
備考
- Level 47 N はほとんどの場合昼間の様相を呈しているが、稀に夜になることがある。この時水平線の彼方に、星とは異なる小さな明かりが無数に蠢いているように見えたとの報告が多数寄せられている。
- Level 47 N の夜には星が見られるものの、月が見えることはない。
- Level 47 N で夜に海を眺めていたところ、水平線に旗にも看板にも見える何らかの構造物が見られたという報告が存在する。
入口と出口
階層への入り方
- Level 499 N で見られる樹木に近づいていった際、自分が向かっているのが樹木ではなく電柱であることに気がつくと、夜間の Level 47 N に外れ落ちる。
- Level 411 N で、パステル色の空から白い線のようなものが降りてきているのを視認すると意識が遠のき、気がついた時には Level 47 N の階段で仰向けに寝転んでいる。
- Level 295 N のオアシスで、池の底に下向きの白い螺旋階段を見つけ、それを伝って降りていくといつの間にか Level 47 N に到達する。
- Level 238 N の海岸で、海に向かって突起した砂場を見つけて進んでいくと地面がだんだんとコンクリートに変化していき、Level 47 N に到達する。
- Level 25 N で潮風の吹く正方向へ進むと、稀に周囲が明るくなっていき、最終的に Level 47 N に到達する。
階層からの出方
- Level 47 N で稀に見つかる無人駅で列車の警笛のような音を聞くと、いつの間にか水平線を眺めるようにして Level 378 N の座席に座っている。
- Level 47 N の上空で稀に見られる飛行船を眺めていると、Level 138 N に到達する。
- Level 47 N の階段で目前に光が踊り、その輝きに耐えきれず目を瞑ると段々と意識が遠のいてゆき、不特定な階層で目を覚ます。
- Level 47 N の階段から海面目掛けて飛び降りた場合、海底をすり抜けて Level 314.6 N に落下する。ただし階段の最下層から飛び降りた場合は通路に落下し、死亡すると考えられる。

