クレジット
タイトル: Level 407 N - Mermaidcore: "人魚の残響"
著者: Hori ta
作成年: 2025
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スロープの上から撮影されたLevel 407 N の砂浜と海岸(2020年撮影)。
Level 407 N とは、バックルームにおける 407 N 番目の階層である。
概要
Level 407 N は、広大無辺な陸地と海で構成された、ひどく殺風景ながら美しい景観を誇る空間である。この階層は陸地方面と海方面のどちらの方向にも四方八方に果てしなく広がっており、無限大にまで拡張された海水浴場のような様相を呈している。また、この階層にある空や海、砂浜、そしてコンテナはいずれも柔らかく淡い色調をとっており、明度は高いが彩度は低く、どこか爽やかでありながらも色褪せた雰囲気を醸し出している。これらは全体として、いわゆるパステルカラーの色彩を帯びており、関連性は不明だが、この階層に滞在した放浪者の中には「自分を優しく包み込んでくれるように感じた」などと自身にリラックス効果がもたらされた旨の報告をする者も存在する。ただ、効果の有無については未だに立証できていない。
Level 407 N の気温は25℃前後で安定しており、湿度は80%以上とやや蒸し暑いという点に目を瞑れば、ある程度居住に適していると言えるだろう。一方で、手に入る物資が概ね決まりきっていることから長期滞在には不向きであるともされている。なお、階層内では海方面から陸地方面に向かって生温かい潮風が頻繁に吹いており、仄かな潮気を各地へと行き届けている。この潮風は海岸沿いを歩いているあなたの頬を時折撫でていき、この階層の蒸し暑さに拍車をかけるだろう。
陸地方面で撮影されたLevel 407 N の空模様。
Level 407 N の空模様は一定ではなく、美しいグラデーション状に変化していく。基本的に陸地方面へ向かうにつれて空は青く暗く、雲は赤く明るくなっていくが、反対に海方面へ向かうにつれて頭上の空は赤く明るく、雲は青く暗く変化する。このように、空と雲は相互に自身の存在感を強め合い、多種多様なパターンの空模様を織り成している。
時間帯は昼間で固定されているが雲量はころころ遷移しており、加えて天気の移り変わりも激しいため、屋外にいる放浪者は突発的な豪雨や落雷などに十分警戒する必要がある。たとえ現時点での天気が快晴であっても、数分後には黒一色で塗りつぶされたかのような分厚い雨雲が空全体を覆いつくすこともある。そのため、陸地方面にいる放浪者は、早いうちに後述するコンテナ内部といった屋内空間へ避難するべきである。持参した傘をさしたり砂浜にしばしば設置されているビーチパラソルの下に避難したりした場合でも雨をしのぐことは可能だが、中には雷を伴う場合もあるため屋内空間へ避難した方が確実である。
Level 407 N では、時折何者かの美しい歌声が階層内に響き渡ることがある。これを耳にしたあなたはその美しい歌声に心を奪われ、その出どころを探ろうとする。
陸地方面
陸地方面で見られる、コンテナの集合体。
あの歌声が陸地方面から聞こえてくるような気がしたあなたは、風下に向かって砂浜をまっすぐに進み、いくつものスロープやコンテナが複雑に積み重なってできたような建造物の前にさしかかるだろう。これを構成しているコンテナの外装にはそれぞれ一色のパステルカラーが充てられており、青色や橙色、黄色のものが比較的多く見受けられる。こうしたスロープとコンテナは砂浜よりも安定した足場1となり、前述したように悪天候時の避難所としても活用可能である。
陸地方面では日照りが強いことに加え、海から遠く潮風があまり届かないため、空気は暑くて乾燥している。また、基本的に陸地方面ではなんの匂いもしないとされているが、僅かに特有の金属臭が漂っており、時折放浪者の鼻を刺激することがある。これはコンテナが潮風に晒されて腐食しているためだと考えられており、事実としてコンテナの外装にはところどころ錆びついている部分が見受けられる。
乱立するコンテナのさらにその奥へ進んでいっても、そこに広がるのは荒涼とした砂地のみである。この砂地の上をしばらく歩いていると、気づかぬうちにLevel 295 N の砂丘の上へ到達している。しかし、当該階層は相対危険度評価が「4」に指定されており危険なため、可能な限り海方面からの脱出を試みるべきである。
陸地方面を訪れたあなたは、まず目についたコンテナの内部を手当たり次第に探索していく。そのためには、必ずスロープの上を渡り歩くことになる。
スロープ
コンテナへと続くスロープ。
傾斜の緩やかな一本道のスロープが真っ直ぐに、或いは右折や左折を幾度か繰り返しながら続いており、各コンテナの扉同士を踊り場で繋いでいる。コンテナの扉に取っ手らしきものは見当たらないが、代わりに南京錠を取り付けるための金具があるので開閉の際はそれに指をひっかけると良いだろう。
コンテナ
コンテナの内装。
コンテナの内部はすっきりしており、基本的に長机や椅子といった簡素なものしかないが、稀にペットボトル入りのアーモンドウォーター2が長机の上に放置された形で見つかることがある。なお、こうしたペットボトルはいずれもラベルが剝がされた跡があるにも関わらず、キャップの固さや内容量から察するに全て未開封品である。また、常温で放置されていたためか、その中身は若干生温かい。
そのほか、金属製の缶に入ったドロップ飴が長机の上で見つかることもある。この缶を振り出してドロップ飴を手のひらに載せ、口元まで持っていって舌の上で転がせば、ころころと明るく軽快な音を立てて口の中に程よい甘さとフルーツの豊かな風味を提供してくれるだろう。
コンテナの内部を覗き見れば、ふと長机の上のラジカセが目に留まることもあるだろう。しかしこれは例外なく故障しており、美しい歌声を再生するどころか、ざらついた小さなノイズ音をスピーカーから絶えず垂れ流すことしか出来ない状態である。このような具合で、結局のところ歌声の主は陸地方面のどこにも見当たらないため、今度は潮風に逆らって海方面を目指すことになる。
海方面
海岸沿い
海岸沿いの風景。
海岸に近くなるにつれて足元の砂粒は段々と湿り気を帯びていき、波打ち際付近や潮が引いた後の砂浜に至っては一部ぬかるんだ地面も見受けられる。そういった地面は周囲と比べてやや濃い色をしているため、注意深く観察してさえいればぬかるみにはまることは避けられるだろう。海岸沿いでは潮風がよりいっそう強く吹いており、辺り一帯に漂っている、つんと鼻を刺すような磯の香りがあなたの鼻腔を刺激する。磯の香りに混じって上品で華やかな香水のような香りが漂っていたと証言する放浪者もいるが、その真偽のほどは不明である。
Level 407 N の海岸沿いには、物置小屋程度の大きさを有する建造物が一定の間隔を空けて設置されている。この小屋の側面に取り付けられた窓から中をのぞくと、海の方に向けて配置された1つの双眼鏡とばったり目が合うだろう。また奥に目をやれば、薄暗いためよく見えないが、逆に陸地の方に向けて放送を流すためのスピーカーもあるようで、これらは海からなにかが出てきたことをすぐに陸地へ知らせられるように監視しているようにもみえる。
また、扉を開けて中に入ると小屋内部の壁にポツンと大人用の浮き輪が1つだけ立て掛けてあるが、その他には何もない。救命用だろうか。この浮き輪を海まで持っていき、縁につかまってプカプカ浮かんで遊ぶのも悪くないだろう。
その他、砂浜では背丈の異なる木杭が列をなして地面に打ち込まれているという不可解な光景も見られている。
海
辺り一面に広がる大海原。
Level 407 N の海面は空模様をそっくりそのまま映し出しており、暗い空に雲が垂れ込めているようなどよんとした天気であれば、海面は紫がかった青色をしているだろう。海面の様子は概ねおだやかだが、時折強い潮風が水面を揺らして白波を立たせることもある。視界を埋め尽くすほどの大海原が広がっており、その水平線の向こうに別の陸地が見えた旨の報告は一切なされていない。見渡す限り海一色に染まっている。
なお、海中にいる間は天気の影響を受けないらしく、悪天候に見舞われた際に海方面にいた場合は速やかに海中へ避難することが推奨されている。
しばしば流れ着いたような形で、つやつやの真珠や仄かにピンクがかった貝殻、色の抜け落ちたような白いサンゴの死骸、手のひらサイズの干からびたヒトデといった物品が波打ち際に並んで落ちていることがある。中には、宝石がいくつも散りばめられた白銀色に輝くティアラが見つかることも極稀にある。どこからやって来たのかは不明だが、これらはまとめて"漂流物"と呼ばれ一部の放浪者の間で重宝されている。
そのほかにも、何者かの足跡が海岸沿いの湿った砂浜の上にくっきりと残っていることがある。このような足跡は海までまっすぐ一直線に続いており、波打ち際でかき消され、途切れていることが多い。また、「足跡の窪みを覗き込むと、何やらきらきらと光るものが窪みのなかに落ちているらしく、拾ってみるとそれは魚のウロコだった」との報告もあるが、これらが他の放浪者の残したものかどうかは未だに判然としておらず、どれだけ階層内を探そうと足跡の主が見つかることはない。
撮影者が拾ったウロコ。
海の向こうの方からあの歌声が聞こえる気がして、さざ波に足を浸す。
浅瀬
浅瀬の様子。
Level 407 N の浅瀬は、透き通るようなエメラルドグリーン色の海水で満たされており、砂浜の上から真っ白な軽石をさながら植木鉢の中身のように目いっぱい敷き詰めたような足場が広がっている。海水は一貫して生ぬるい温度を保っており、衣服がびしょびしょに濡れた状態で海から陸地に戻っても、元々の蒸し暑さも相まってさほど寒くは感じず、体温の低下を招くことはないとされる。総じて、浅瀬は放浪者にとって「案外心地良い」と表現されるほど快適な空間となっている。
海中を進むたびに水深はどんどんと増していき、水深があなたの口元を覆いつくす高さにまで達した頃には、水中で呼吸ができている自分に気付くことが出来るだろう。これに続いて、目を開いたまま海中に滞在できること、そして海中で溺れる心配がないことも認知するため、海中はこの階層における安全地帯として放浪者に認識されることが多い。
浅瀬を抜けると軽石の数は徐々に減っていき、しばらくの間砂浜に落ち着いたあと、今度は色鮮やかなサンゴ礁が次第にあなたの足元を埋め尽くしてゆく。サンゴ礁の上を素足で歩くと足裏を切ってしまう恐れがあるため、あらかじめ靴を履いておくことが望ましい。しかしどうしても素足で歩くほかない場合は、サンゴ礁を迂回するか歩かずに泳いで乗り越えるかなどをする必要がある。このような変化に伴い、天上は澄みきった青空になり、水面の碧色は段々と深みを増してゆく。
中層
サンゴ礁の様子(防水カメラで撮影)。
浅瀬を越えてLevel 407 N の中層にたどり着けば、潮風の吹き荒れる音はおろか先程まで聞こえていた波音さえも分厚い水面のカーテンに遮られてしまい、一切聞こえなくなる。しんと静まり返った海の中、代わりに耳に入ってくるのはあの美しい歌声のみであり、先程と比べて少しくぐもって大きくなったように聞こえる。中層に達した時点で、あなたは完全に外界と隔絶されてしまったような感覚を強く抱くことだろう。
中層ではひんやりとした海流がそこら中を漂っているため、全体の海水温は浅瀬に比べてやや冷たく、滞在中に腹を下してしまうリスクもあるため適切な事前準備なしに乗り切るには少し過酷な環境である。
そのまましばらく海中を散歩していると、地面を蹴るごとに足裏へ伝わってくる重みが次第に軽くなっていき、ある地点を過ぎると、とうとう蹴りが空を切るようになってしまうだろう。水平線に向かって進めば進むほど深海へ向かう海底の傾斜も激しくなるため、どうしても自身の背丈では到底足が地面に届かないような場所にも遭遇してしまう。しかしながら、先述したように地上での息継ぎは不要であるため心配は無用である。そのまま地に足をつけて歩いて行ってもいいが、泳ぎが得意な者はそこからは泳いで行ってもいいだろう。
"魚類"
小魚が戯れる様子。
Level 407 N の海中、特に中層では小魚が群れを成して遊泳している様子がしばしば散見できる。あなたを認識していないのか、小魚はこちらが近付いたり手を伸ばしたりしても警戒したり逃げ出したりする素振りを見せない。そのため、その場に留まっている個体であれば捕獲は容易である。
小魚には小骨やウロコといった喉に引っかかりやすい部位は一切存在せず、放浪者の間では生きたまま海水と一緒にいただく、いわゆる"踊り食い"が小魚の主流な食し方となっている。これに従って生きたままの小魚を口にすると、口の中で魚がぴちぴちと跳ね回る食感が伝わってくる。その味わいは若干薄味だが生臭くなく、しばしば「爽やかな磯の味」とも形容される。また、ぷりぷりとした歯ごたえがあって非常に美味である。ただ、あくまで"小魚"に過ぎないため数匹食べた程度で空腹を満たせるとは考えない方がよいだろう。なお、小魚の他に単独でエイなども見つかることがある3。
遊泳しているエイ。
深場
Level 407 N の深場は、地上からの光の大半が届かないためやや仄暗い区画となっている。水深も深く、浅瀬に比べれば危険が多く潜んでいる。サンゴ礁はどこにも見当たらず、唯一存在する岩石の表面には薄汚れた海藻やイソギンチャクが纏わりついており、どこか古びたような印象を受ける。深場の海水は凍えるほど冷たく、布越しに体温が奪われることもあり、低体温症につながる恐れもある。
靴を履いている放浪者に決まって降りかかる災難として、深場を進む中で突如生じた強い海流に襲われ、今まで履いていた靴が足元を離れて海流に奪い取られてしまうというものがある。その靴はあっという間に潮の流れによって遠い所まで飛ばされるため、放浪者は取り戻すのを断念し、そのまま裸足で探索せざるを得なくなる。
そこからまた一定の距離を進むと、目の前に"ブルーホール"と呼ばれる1つの大きな穴が現れる。
ブルーホールの入口。ここで海底が途切れており、ここから先は切り立った断崖となっている。
ブルーホール
Level 407 N では、直径も最深部も不明な、とてつもなく巨大なブルーホールが海底にぽっかりと空いている。そのごつごつとした岩肌で縁取られた穴の中には、深淵を思わせる深く真っ暗な暗闇が直下に果てしなく広がっており、圧倒的な底知れさに恐れおののいてしまうかもしれない。しかし、中を覗き込んだ時点で、あの美しく、誘惑的な歌声が穴のずっと奥の方から聞こえてきていることを確信したあなたは、興味が恐怖を上回ったがために一瞬躊躇いながらも勇気を振り絞り、目の前の海溝に飛び込もうとするだろう。そして穴の切れ端に足をかけたその時、突然に穴の中に吸い寄せられ、あなたは立ったままの姿勢かつとてつもないスピードで深海へ沈んでいく。
沈み始めた直後は、海への恐怖心に支配されて頭が真っ白になってしまうだろう。ここから助かる方法を思い浮かべようとするも、そのどれもが不可能あるいは無意味であることに絶望し、そのにじみ出る焦りからあなたはますます冷静さを欠いていく。身体を掴まれて海中の奥深くへと引きずり込まれているような確かな感触が足首にあるため、にじり寄る「死」の恐怖におびえながらも自身の足の様子をちらりと確認してみるが、そこにあなたが想像していたような実体は存在しない。足元に広がる暗闇が目に入るたびに、頭の端のほうに奈落の存在がちらつく。あなたは、死を覚悟する。
抵抗もむなしく、あっという間にいくつもの海洋層をつき抜けて数百メートルは沈んだかという時、あなたはふと身体が水圧に押しつぶされないことに疑問を抱くだろう。そして、地球の裏側にまで達するかと思われた次の瞬間、あの歌声を間近で耳にする。
その歌声は段々とこちらに近づいてきている、ということに気づくと、あなたの中に不思議と安心感が湧いてくる。
徐々に増大していく安心感は恐怖心をあなたの中から追い出していき、入れ替わるようにしてそこに居座るようになる。海への恐怖心が薄らいでいくにつれて、沈むスピードは段々と弱まっていき、恐怖心があなたの中から完全に消え失せた頃には勢いはぴたりと止まっている。あなたは浮くことも沈むこともなく、ただその場で漂っている。
落ち着きをある程度取り戻したあなたは、両足を天上へ向けてダイビングの姿勢になり、両手で暗い色の海水を掻き分けながら深海を目指して潜降を始める。周囲を見渡せるほどの余裕ができれば、辺りの地形などから自分が海底洞窟のような場所にいるということを自覚するだろう。
海への恐怖心などすっかり忘れて、あなたは楽しさを覚えながら潜降を続ける。
魚群がより奥へ、深みへ、暗がりへとあなたを導いてくれる。
どれだけ潜り進めただろうか、気づけば暗い穴の中に一筋の光明が差している。それは、そこにあるはずのない"水面"から漏れ出る地上の太陽光である。歌声はもう目前まで迫ってきているように感じられ、歌声の発信源の位置が手に取るようにわかる。
歌声が完全に自分と重なった瞬間、突如として視界が眩い光に包まれる。あまりの眩しさについ目を瞑ってしまうが、水面をつき抜けて外に出た感覚だけがその身に残る。
あなたはブルーホールから放り出され、Level 27 N の上空へ出現する。
備考
- 砂浜を探索する際、時々身に着けている衣類の中に砂粒が入り込むことがあるが、これらは体を動かしているうちに袖やすそから水が滴るがごとくさらさらとこぼれ落ちていくため、衣類には殆ど残らない。また、砂粒は水分と交わらないのか汗をかいている放浪者の肌に付着しても表面にこびりついたりせず、放浪者が不快感を抱くことは特にないという。
- 当階層が発見されて以来、「Level 407 N からLevel 27 N への到達後、海洋恐怖症を患っていた放浪者が海への恐怖心を克服した」という事例が一定の頻度で報告されている。またこの影響は克服だけに留まらないようで、海あるいはこの階層自体を恋しく思うようになる放浪者も少なからず存在しており、中には「海に還りたい」と泣き叫ぶ者まで現れている。いったいこの階層の何が放浪者をそこまで執着させているのかは定かではない。この件に関して、「階層内で耳にした歌声が残響となって耳に残り続け、脱出後も放浪者を海に誘っているのでは」とする考察もなされているが、憶測の域を出ないことに留意すべきである。
- 「この階層には"人魚"に類する実体が棲みついているのではないか」と、度々議論になることがある。その存在を裏付けるための確たる証拠こそ見つかっていないが、前述した通り、放浪者にその伝説上の生き物の姿を想起させるに足る物品はこれまでに数多く見つかっているためである。しかしこれはあくまで憶測に過ぎず、肝心の人魚本体を発見したという報告は未だになされていない。
入口と出口
階層への入り方
- Level 63 N で「夕焼け」発生中に何者かの美しい歌声を耳にし、その出どころを探ろうと砂浜を歩き回っていると、ふとした瞬間に外れ落ちて Level 407 N に到達することが極稀にある。移動したかどうかを知るには、海上の看板が無くなっているかを見るとよいだろう。
- Level 411 N で「水の上に立っていたところ、突然に水面の揺らぎを経験してバランスを崩し、湖に向かって落ちるとそこは Level 407 N の浅瀬につながっていた」という報告が数件存在する。ただし再現性は低い。
- Level 238 N で、海岸から突き出た浮き桟橋(ポンツーン)を見つけてその先端まで歩いていくと、次第に夜が明けていき浮き桟橋ごと Level 407 N の海上へ到達する。
- Level 378 N の車両内で日向の座席に身を委ねて眠りにつくと、目が覚めた時には Level 407 N のコンテナ内の日当たりの良い椅子に腰かけている。なお、こうした到達報告において、放浪者は例外なく"西入道行き" "みなわ鉄道-水平線"と記された穴あき切符をいつの間にか片手に握りしめていた。
階層からの出方
- Level 407 N で乱立するコンテナの奥に広がる荒涼とした砂地の上をしばらく歩いていると、気づかぬうちに Level 295 N の砂丘の上へ到達している。この脱出方法では危険な階層に到達してしまうため、あまり推奨されない。
- Level 407 N でブルーホールの中に入って奥深くへと潜り進めていくと、暗い穴の底で水面が光っているのが見える。この水面を突き抜けて外に出ると、 Level 27 N の上空へ出現する。
海上で撮影されたブルーホール。

