Level 299 N の砂浜の画像。
Level 299 N とは、バックルームにおける 299 N 番目の階層である。
概要
Level 299 N は、東西から海に囲まれた砂浜の海岸線が南北にどこまでも続いているような構造をした階層である。2本の砂浜は地平線の続く限り途切れることがなく、その間を中央で小高い丘が挟んでいる。島とも陸地とも取れない複雑な地形の中で潮風の向きは数分間隔で反転し、入り組んだ様々な方角から波が打ち寄せてはかき消されていく。気温を示す値は20℃前後で揺らいでおり、心地よい潮風が吹いていることから多湿ながらも比較的過ごしやすい気候に感じられる。辺りは静寂に包まれ、波が行き来する音や潮風の音が繰り返し耳に伝わってくるだけで、それ以外の音は殆ど耳に入ってこない。
Level 299 N の砂浜より少し先の浅瀬には、防災無線のスピーカーが配置されていることがある。柱の水面間際の部分は錆びが目立ち、スピーカー部分はやや年季が入っているように感じられる。ごく稀に、スピーカー部分から微かにストリングスとピアノ主体の楽曲が流されることがあり、その音色は聴いていると心が落ち着くような、温かく優しい音色をしている。
Level 299 N 全体を覆う空は時刻を問わず青紫がかった夕暮れを映し出し、北東の水平線付近は日没直後のように若干黄色味を帯びている。きらきらと輝く星が空中に点在し、中には明星の如く一際眩い光を放っているものもある。極稀にだが、4〜6個の流れ星が上空を東から西へと駆け抜けていく様子を目にすることもできるだろう。時折彼方を大きな雲が覆い尽くすことがあるものの、砂浜付近を雲が通り過ぎることは決してなく、頭上はいつも雲一つない快晴となっている。
Level 299 N の砂浜はほんのり暖かく、肌触りが良く滑らかで、手で掬えばいとも簡単に手のひらから滑り落ちる。貝殻や折れた枝などの鋭利な漂着物は砂の中に紛れ込んでおらず、裸足で駆け回るなどして足を怪我することはないだろう。砂浜では実に様々なものが見つかり、以下にその例を示す。
- 砂で形作られたお城。傍にはプラスチック製のスコップと、同じくプラスチック製で少量の砂が入ったバケツが置いてあり、色とりどりのペットボトルの蓋や小さな旗を使った装飾が施されている。かなり風化しているようで結構脆く、少しの力を加えるだけで簡単に崩れ落ち、打ち寄せた波に攫われてしまう。
- 紐で補強された物干し竿。サンダルや水着、子供用の服、白いワンピースなどの衣類が干されており、潮風に吹かれてたなびいている。付近に数本のカラフルな風車が突き刺さり、それらが風によって回転している状態で見つかることもある。
- 電車の線路。枕木にはいくばくか苔が付着し、レールは若干錆びついている。砂浜を起点として海の向こうへと伸びているが、実際どこまで伸びているのかは判然としない。
- コルクで蓋がされた薄緑色の瓶。偶に波打ち際に漂着し、その中には折り畳まれたルーズリーフが丸められており、その様相はボトルメールのようにも見える。ルーズリーフを瓶から取り出して中身を見てみると、恐らくはペンを使って何やら筆記体で文章が丁寧に記されているが、使われている言語は不明でその内容は定かではない。
短い草が生い茂る小高い丘には、スロープや階段を介して登ることができる。丘の上には一定の間隔を開けて木造のベンチが東に向かって設置されており、端に英語の本が数冊積み重なっていることがある。本の内容はありきたりな恋愛小説や、随筆であることが多い。ベンチ付近には街灯が配置されており、時折折り紙製のカモメのモビールがぶら下げられている。南北に果てしなく伸びる丘をどちらに向かって進んでも、最終的には一つの灯台に辿り着く。
灯台
灯台の画像。
朱と白の縞模様を基調とする灯台は、小高い丘の中央に建てられ、頂上のライトから真っ白な光を放っている。地面は薄灰色の石畳で舗装され、付近には薄いオレンジ色の光を放つ5-6本の街灯が配置され、黒く塗装された金属製の柵が周りを一周している。周辺に茂っている、真っ直ぐ立った一本のヤシの木や背丈の低い樹木は、丁寧な手入れが施されているように感じられる。
その外観とは打って変わって、灯台の内部では木製の螺旋階段が上に向かって果てしなく続いている。内壁は全体が藍色のペンキで塗装され、所々薄灰の雲や五色の虹、輝く星のイラストで上書きされており、その雰囲気はまるで夜空を駆け上がっていくかのようである。周期的に取り付けられている窓からは、壮大な海と明け方の景色が眺められる。
内壁の壁から壁へと無数のワイヤーが無秩序に張り巡らされており、カジュアルな服を始め、セピア調のワンピースや暖色系のバスタオル、丈の長い蛍光色の長靴、水玉模様の傘など、実に多種多様な物品が、穴に通す、ハンガーに掛ける、洗濯バサミで挟むなどして干されている。これらは螺旋階段の上層から吹いてくる風により緩やかに揺れている。
灯台内では、ピアノやストリングスを基調とした、落ち着いた雰囲気の曲がループすることなく延々と反響している。螺旋階段を上ってゆくに従ってその音は段々と鮮明になり、最終的には先述の曲を流す黒色のラジオが隅に置かれた小さな踊り場へと辿り着く。踊り場の壁にはモダンチックな扉が備え付けられており、扉を開くとそこは子供部屋となっている。
子供部屋の画像。
子供部屋は一辺約6メートルの立方体ほどの大きさを有している。部屋の様相は一見幼稚ではあるのだが、どこか大人びたような、落ち着いた雰囲気を醸し出している。一方の壁には水色のシーツが敷かれたシングルベッドがあり、紺色の掛け布団が折りたたまれて置かれている。傍には小さな棚が置かれてあり、上段にはヘッドホンと音楽プレーヤーが、下段にはカセットテープが入っている。薄橙色のカーペットを挟んで反対側には茶色のソファがあり、抹茶色とクリーム色のクッションが置かれている。その隣には勉強机があり、様々な筆記用具や教科書類が整頓され、壁にはひらがなの五十音表が三枚、黒いポスターが一枚貼られている。隅にはピンク色のラジオが置かれており、灯台でも聞こえていた音楽を絶え間なく流している。
扉の反対側には、ベランダに続く大きな窓があり、隙間から吹いてくる潮風によって白色のカーテンがゆらゆらと揺れている。ベランダの片隅には換気扇が一台あり、その上に植木鉢が二つ置かれている。もう片隅には白と黒を基調とした机と椅子が1セットある。ベランダ側からは子供部屋はマンションの一室のように見て取れ、左右には静まり返った明け方の町並みが広がっている。そして眼前には、暁の空と広大な紫色の海原が広がり、その光景はまさしく壮観である。
補足
- 漂着するボトルメールはその殆どが意味不明だが、稀に文意が通る短文が記されていることがある。以下はその一例である。
たまにはうつつを抜かすのも、いいじゃないですか。
- 扉の傍に、数本の瓶入りサイダーが木箱に入れて置かれていることがある。どのようにして置かれているのかは定かでないが、飲んでも害はない。ゆったりとした音楽を聞き、ベランダでサイダーを嗜むのも乙なものだろう。
入口と出口
階層への入り方
- Level 370 N で、カクテルではなく瓶入りの三ツ矢サイダーがテーブルなどに置いてある場合がある。このサイダーを飲み干して眠りに就くと、そよぐ潮風が顔に当たって目が覚め、自分が Level 299 N の砂浜で仰向けに寝ていることに気づく。
- Level 475 N で、水族館の比較的明るい階で非常口を見かけることがあり、その先は長い一直線の登り階段となっている。階段を登っていきだんだん明るくなっていくとともに、階段に敷かれたカーペットも砂粒混じりになっていき、やがて出口に辿り着くとその先は Level 299 N の一面の砂浜になっている。
- Level 500 N で、空き部屋のベランダにて虚ろな空を眺めて耽っていると、緩やかに空が紫色へと変わっていくことがある。空の紫色を掴もうとして目一杯空に向かって手を伸ばすと、何か人肌のを掴んだ感覚とともに空へと引き込まれ、暗転の後 Level 299 N の砂浜に辿り着く。
階層からの出方
- 先述したボトルレターとは違って、色褪せた宝地図と小さなクマのぬいぐるみが入った、やや大きめの瓶が流れ着くことがある。その地図の記述通りに進んでいくと、底なしの穴が空いたエアー遊具が放置されているのを見つけ、その穴に飛び込むと、暫くの間落下した後に Level 143 N のボールプールの中へと飛び込む。
- 砂浜を散策していると、乳白色で粘性のある液体が封入された、薄いピンクのリボンが結ばれた白色透明の瓶が置いてあるのを見つけることがある。その瓶の内容物を摂取し、その後睡眠を取ると、目を覚ました頃にはLevel 123 N に辿り着いている。

