風に身を任せ、あの頃を懐古せよ
もし今、あなたが Level 275 N にいると思ったのなら、空間を循環する風に想いを馳せてください。長期の滞在は危険です。想いを馳せたのなら、記憶の一頁を捲り、あの頃のことを考えるのです。
これにより、あなたは危機を跳ね除けます。安心してください、風が過ぎ去れば、全て元通りです。
Level 275 Nの景観。
Level 275 N とは、バックルームにおける 275 N 番目の階層である。
概要
Level 275 N は屋内空間であり、無数の本棚が立ち並んでいる。規則的に立ち並ぶそれらには書籍が収められているが、表紙及び背表紙は無地であり、内容は無意味な単語が羅列しているのみである。書籍の頁数は実例ごとに異なっている(最大 1152 頁、最小 2 頁)が、 見かけ上の厚さは全て同一である。時折、栞のように、書籍の頁に挟まれた形で、ポラロイド写真が出現する。写真には幼少期の放浪者が被写体として映っている。
床は基本的にリノリウムによって構成されているが、例外もある。例えば、キッズスペースと口語的に称される空間は、湿り気を帯びた黄色のカーペットによって床が覆われている。また、キッズスペースに存在する一部の本棚は、カーブした形状を有している。絵本と思しき書籍が存在しているが、内容は通常の書籍と同様に、無意味な単語が羅列しているだけである。
表示画像
点在的にカウンターが存在しており、そこにはデスクトップパソコンが置かれている。しかし、パソコンはインターネットに接続されておらず、またこちらからの入力を受け付けない。モニタには Microsoft Windows XP の標準のデスクトップ画面に設定されている画像 (一般的に「草原」と呼称される) に類似したイメージが表示されているだけである。また、付近には AV ライブラリが存在しているが、そこに収められているディスクは DVD 及び CD ではなく、任天堂によるゲームハード「Wii」用の 12 mm 光ディスクである。 AV ライブラリにはモニタとビデオデッキが存在しているが、 Wii 用の光ディスクが対応する形式ではないため映像、情報を読み込むことができない。
Level 275 N の各地に、給水器が存在している。給水器からは飲用水を汲むことができる。飲用水は冷たく、まろやかな口当たりである。一部の放浪者は微かな塩味、鉄臭い匂い、ぬめりのある感触を報告しているが、それらの例においても健康被害は発生していないものとされる。バックルームにおいて飲用水は貴重であるが、後述の理由から補給は不要であると考えられる。
階層内は冷涼かつ乾燥しているが、防寒・保湿装備は不要である。具体的な気温・湿度は以下の通り。
| 気温 | 14℃ |
|---|---|
| 湿度 | 25% |
本棚を手押しすることにより、動かすことができる。この際、本来であれば倒れるはずの本棚は、水平方向に滑るように移動する。この挙動は集密書架を使用した際の挙動に類似しているが、集密書架とは異なり、床面にレールは存在していない。この際、物音は鳴らず、手押しした放浪者は本棚の異様な「軽さ」を報告している。
まるで発泡スチロールの箱を持ち上げるかのような、拍子抜けする感覚があった。見かけ上は明らかな重量を感じるのだが、実際にはそのような重量はどこにもなく、ただ漠然とした、軽さを感じるのみである。水平方向への移動にあたっても、床面との抵抗を感じなかった。例えるならば、氷上を滑るカーリングストーンのように滑らかに、かつ流動的に移動していたのだ。 ── 報告例17より引用
Level 275 N 内は基本的に無音である。動作しているはずの空調機器から駆動音が発せられることも、蛍光灯のハム音も聞こえない。ただし、例外的に、どこかから蝉の鳴き声が聞こえてくる。蝉の鳴き声は微かなものであり、階層全体をうっすらと覆っているようである。延々と続く蝉の鳴き声と、自身の足音のみが響く空間への長期の滞在により、精神的な不調──幻聴、幻覚、錯乱などが生じることもある。なお、一定以上の音量を発することにより、階層移動が発生したという報告例もある(参照: 出口項目)。
Level 275 N は完全な屋内空間であるにも関わらず、どこからか微弱な風が吹いている。風は階層内を循環しているようである。風は温く、どこか懐かしさがある。放浪者はそれに意味を見出す──幼少期の自らを取り巻く空気が、肌を撫ぜていると解釈する。それと同時に、塩素系漂白剤の匂いが香ってくる。静謐と清潔を想起する匂いを感じた放浪者は次第に、本の頁を捲るかのように、自身の幼少期を回想する。思い出に浸り、あの頃への懐古を覚えた時点で、放浪者は現実世界へと帰還する。帰還者報告スレッドでの書き込みの内容から、現実世界では放浪者の外れ落ちから然程時間が経過していないことが伺える。
備考
Level 275 N を訪れたと思しき人物によって、インターネット上に以下の書き込みが残されている。
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雨悪魔 @Ameakuma |
昨日図書館に行ったんだけど、急に静かになって、気がついたら変な場所にいたわけなんだけど あれって何だったんだろう 誰もいないし寒いし蝉がずっと鳴いてる 屋内なのに風も吹いてて本当に変 なんか懐かしいな~って思ってたらいつの間にか元の場所にいたけど、本当に何?
16:41 ・ 2026/07/05 ・ 15 回表示
類似の書き込みも複数確認されており、インターネット上では口語的に「追憶の図書館」と呼称されるネットロアとして認知されている。
入口と出口
入口
- 現実世界で図書館に滞在している際、不意に音が聞こえなくなったのなら、 Level 275 N への階層移動が発生している。
出口
- 一定以上の音量を発することにより、 Level 804 N への階層移動が発生したという報告例が7件存在している。
- Level 275 N を循環する風に想いを馳せ、かつての記憶を回想し、懐古した果てに、現実世界へと帰還する。


