Level 118 N の様相を写した最も代表的な写真。2004年撮影。撮影者不明。
Level 118 N とは、バックルームにおける 118 N 番目の階層である。
概要
Level 118 N は、フェリーの展望デッキと思しき様相を呈する空間である。
Level 118 N の甲板外は常に黒闇々としており、何も見えない。そこは奈落のように何も存在しないかのようであり、その様子はあたかもフェリーの展望デッキ部分のみを切り取られた空間であるかのようだと報告する者も多い。実際、甲板外を懐中電灯などの光源で照らしても、暗がりが晴れることはなく、その先を確認する試みはどれも失敗に終わっている1。加えて、甲板外からは常に荒々しい波の音が聞こえてくるため、甲板外には海があるのではとする噂が出回っている。しかしながら、そこへ飛び込むという旨を報告した者のその後の消息が途絶えている。甲板外についての情報が一切ないという点も鑑みて、絶対に飛び込んではならないと言える。
Level 118 N は、日本における9月下旬に近似したやや肌寒い気候となっており、ささやかな冷たい潮風が漂い続けている。そのうえ、前触れもなく空から冷ややかな霧雨が一様に降ることがある。その影響で低体温症になるリスクも懸念され、食料なども存在しないため長期間滞在には然程適していない。加えて、階層内で他者と遭遇した例は確認されていない。
Level 118 N では至る所に照明が配備されており、それらからは蛍光灯にも似た「ブーン」というハム音が微かに鳴り響いている。甲板上は隅々まで明るく照らされている2ため、視界不良といった事態に陥る恐れはないと言えるだろう。ただし、稀に停電が起こり何も見えなくなる場合があるため、懐中電灯などの有用な光源がある場合は所持すると良いと言えるが、復電までにかかるおおよその所要時間は平均でたった数分程度であり、その間に実害が伴った例はない。
壁や床などを見ても汚れや塗装剝がれといった老朽化の兆候らしき痕跡は一切散見されない。その質感は、完成して間もない印象を与えると同時に、却って「変に無機質で不気味である」や「作り物のような雰囲気である」と評されることもある。
Level 118 N では、室内へ通じる扉などが全て施錠されており、破壊に成功したという報告も存在しない。実質的に移動可能なのは甲板上のみに限られている。また、室内を覗けば、どういうわけかそこは個々の放浪者自身の実家/自宅の部屋3の光景が広がっているのを目にするが、どのような手段を以てしてもそこへ立ち入ることはできない。それにより、放浪者は多少の郷愁感を抱くと同時に、現実世界への帰還願望が増幅する傾向にある。
紙飛行機
時折、何も見えない甲板外から突如として数多くの紙飛行機が甲板上を横断するように闇の中から現れることがある。これらには何らかの危険性を有するわけでもなく、至って普通の白色の上質紙4が使用されているようである。
これらの紙飛行機を開けば、放浪者の過去に関する懐旧談5が一言のみ鉛筆で記されているのを確認できる。加えて、これらの内容はあたかも過去の放浪者自身が現在の放浪者に向けて語りかけているかのような文体であるという。これについて寄せられた報告でも、大抵の場合が幼少期や学生時代の自分が書いたかのような文章だったと述べている。加えて、字体も過去の放浪者のものと似通っていることが知られている。また、個々によっては、放浪者が過去にて記録していた日記のある一部分を抜粋したものも見受けられ、種類は様々である。
これらの紙飛行機が甲板上を通過している際、微かにウミネコの鳴き声が聞こえてくることがある。これらの紙飛行機が発しているものではないかと示唆する者や、それに伴い、紙飛行機は実体なのではないかとする噂が存在するが、根拠が乏しく信憑性に欠ける。現状、Level 118 N において明確な実体は確認されていないものの、存在可能性を考慮して実体信頼性は不明としている。
備考
- 甲板外の遠方から、船舶の汽笛らしき音が吹鳴されることがある。大抵の場合、1秒間続く音が5回連続で鳴るという例が殆どである。これは汽笛信号における警告信号を意味するサインであるが、本階層においてそれがどのような意味を持つものなのかは分かっておらず、謎に包まれている。
- 室内を覗いていると、幼少期、あるいは学生時代の放浪者の姿を目の当たりにしたという報告がある。この際、こちら側に一切気づかぬ振りを示すというが、実際のところ、これに関する情報が非常に少なく、真偽は不明となっているのが現状である。
入口と出口
階層への入り方
- Level 118 N への侵入は不特定多数の階層においてあり得ることである。荒々しい波の音が聞こえてくる方向を目指して進むと、無意識のうちにやがて Level 118 N の甲板上に足を踏み入れていることが知られている。この方法以外に確立された手段というものは確認されていない。
階層からの出方
- Level 118 N にて、視線を外している間に、甲板上のどこかに小さなハッチのような四角い穴が現れていることがあり、そこへ入るとやがて Level 28 N、Level 52 N、Level 475 N のいずれかへと到達している。
- Level 118 N にて、甲板外に接近し誤って外れ落ちたところ、Level 114 N のプールに沈んでいる形で到達していたという報告が存在する。
- Level 111 N にて、横たわり目を瞑っていると、気づかぬ間に Level 385 N のラウンジに到達していたという報告が存在する。
- Level 118 N にて、甲板外へ飛び込むと奈落へ通じるという仮説が提唱されているが、確証は得ていない。飛び込むという旨を報告した者がそれ以降消息が不明となっている事実がある以上、いずれにせよ飛び込む行為は差し控えることに越したことはないと言えるだろう。

