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墓地。
Level 104 N とは、バックルームにおける 104 N 番目の階層である。
概要
Level 104 Nは、深い霧に沈んだ甚だ広大な草原に無数の墓所が点在している空間である。Level 104 N内の気温は温度計付きの通信機器を保有していた放浪者によると、常に2~3℃に保たれている様であり、後述する空間特性と合わせてLevel 104 N内での滞在を困難なものにしている。墓所は草原に点在しており、それらは完全に無秩序である。草原には草が生えていない道の様なものが確認されることがあるが、それらは舗装されておらず土がむき出しになっていて、朝霧の露を含んだ土はぬかるんでおり、道を歩く際は必然的に俯きながら歩くことになる。また、道は途切れ途切れになっていて、道としての役割をもって建設されたというよりは単に草が生えていない箇所が道のように見えると言ったほうが適切である。
Level 104 Nの霧は濃い白色をしており、視界はかなり不明瞭である。また、霧のせいかLevel 104 N内の湿度はほぼ飽和域に達しており、Level 104 N内の大気全体が非常に湿っぽい事が知られている。霧のせいかLevel 104 Nは常に曇天であり、太陽の光は黒々しい霧に遮られ地上に届く光は僅かである。
この霧の特性として、霧に金属が長期間暴露することによって水色及び白色の混ざった透き通った氷の様な結晶が金属の表面に発生し、非常に緩やかな速度で成長していく事が知られている。結晶が直接放浪者に有害な成分を含んでいる訳では無いものの、持ちにくくなる、道具としての機能を果たさなくなる等の弊害が予想される為、金属製の道具はLevel 104 N内では出来る限りしまっておくことが推奨されている。
墓石には先述した様な結晶が付着している事があり、透明性が高く、結晶の内部に生じた亀裂が花の様に見える事がある。朝霧の露を垂らしている水晶は多少の冷気を伴っており、触れると仄かな冷気を放浪者の先端に伝える。墓石も非常に冷えていて、あなたが墓石に触れれば内部に秘められた尋常ならざる冷気があなたの手に伝わる。また、前述した様な霧が結露して液体となり、柵や墓石を湿らせているとの報告もある。 墓石は粗く削られた岩で出来ており、その表面は苔むしていて、墓石は一般的に日本では無く西欧で見られる様な墓石である。この様な墓石は花崗岩や閃緑岩等の石で作られており、大理石で出来ている事もあるが稀である。
斜面に建てられた墓石群。
墓石が密集している特異な箇所。奥には納骨塔の様なものも見られる。
墓所
Level 104 Nには一定の規模の墓所が点在している。一つの墓所は一辺が概ね100mほどの正方形であり、そうした中に墓石や納骨堂が存在する。墓石の大きさは一定ではなく、実に様々な形状の物が存在する他、そうした墓石は大抵かなり風化が進んでおり、中には少し触れればボロボロと崩れ落ちてしまう物まであり、どれも尋常ならざる時を閲した事を示している。これらの墓石には瓶の中に入った船が墓前に供えられている事が多々あり、船主は様々であるもののどれもガレオン船等の遠洋航海に向いた船であり、またそれらはどれもボロボロの状態で砂浜に座礁しており、難破船のようである。また、そうした墓石には前述した水色の結晶が生えて成長している事がある。こうした結晶が大きいもの程、墓も傷つき寂れている傾向にある。墓には薔薇が供えられている事が多く、それらは水を張った青磁の花瓶に供えられており、水は蒸発することなくいつまで経っても枯れる事はない。薔薇は美しい深紅である事が多いが、中には白や桃色の薔薇が供えられていることもある。
墓碑銘
墓石には大抵アルファベットで名前が刻まれている。基本的に西欧で見られる様なミドルネームが付けられており、名前が殆ど西欧系のものである事も埋葬者が西欧系の人物である事を匂わせている。特筆すべき特徴として、今迄に発見された墓碑名の名前は「arcadia・F・george」など全て最初の部分が「arcadia」である事が知られている。
薔薇園
Level 104 Nを探索していると、どこまでも伸びた古めかしい煉瓦製の壁が見つかる。この煉瓦の隙間には瑞々しい苔が繁茂しており、隙間全体を覆っており、この壁が建設されてから悠久の時を経たことを示している。この隙間に合わせて指を巡らすと、瑞々しい苔、そしてその下地となった僅かな土が貴方の指先に付着する。
それの端に沿って歩いていけば、やがて扉に辿り着き、それを開ければ広大な薔薇園が見つかる。大抵は墓所に隣接して建てられており、薔薇園はまるで雨上がりであるかの様に葉に水滴が付着しており、とても瑞々しい印象を与える。
薔薇園には銀で出来た水盆が置かれている事がある。水盆の淵には薔薇の緻密な彫刻が彫られており、水盆から下へ少量の水が流れゆき、それと同量の水が水栓から注がれていて、水盆は常に一定量の水を湛えている。この水が放浪者の喉を潤してくれる。その水はとても冷たく、仄かに甘い。稀に、この水を小鳥が飲んでいる事もある。水面には一輪の薔薇が浮かべられており、薔薇を除くと水の供給は少しづつ減っていき、水位は徐々に低下し、やがては枯れてしまう。その為、薔薇は除かず、そのままにしておく事が推奨されている。水面は一種の鏡の様に放浪者を映しており、放浪者が自身と向き合う時間を与えてくれる。
薔薇園の入り口。
死者を弔うための薔薇園はとうの昔に庭師を無くし、それでも均衡を保ち続けていて、薔薇はよく管理されている様に見える。薔薇は殆どが濃い赤色であり、白や桃色は稀である。また、数件のみ、青色の薔薇の群生している箇所を発見したとの報告も存在する。この様な薔薇は枝を折り、煎じる事で茶を作る事ができる。この際、花の部分は取り除かないと味が濃くなりすぎるので注意する事。その様なお茶は薬効があり、傷の治りが少し早くなるといった効果が報告されている。また、味は薔薇の色味によって少し異なり、赤色の薔薇では薔薇の風味、白色の薔薇では薔薇に加え微かにミントの風味、桃色の薔薇では薔薇と僅かなベリーの風味がすることが知られている。
薔薇の枝に様々な雑貨が挟まっている事があり、これまでに複数の物品が放浪者によって発見されている。しかしながらそれ自体が非常に稀であり、尚且つ枝と棘に挟まれて回収自体が不可能な場合も多い。以下に今までに確認されている物品を列記する。
- 黒い装束を纏った女の子のマドレーヌ人形
- 錆びた鍵
- 不透明な水色の結晶の欠片
- 銀の指輪
- 「庭師」の手記
- 木彫りの女神像
高架線路
階層内を歩いていると、自身の身長の何十倍もの高さの高架が見つかる事がある。高架は赤色の煉瓦で出来ており、煉瓦の隙間には苔が繁茂している等、建築から悠久の時が経過している事を示している。橋桁は百数十m間隔で建てられており、その麓には各種飲料やペン等の物資が見つかる事がある。又、稀に守衛の駐在所の様な建物が見つかる事がある。その様な建物は、入り口にランタンが付けられており全体的に色素が薄いLevel 104 Nでは非常に目立つだろう。建物の中には仮眠用のベッドや栄養バー等の物資が見つかる事がある他、必ず陶器で出来たノームの置物が置かれている。ノームの中は中空となっており、その中に硬貨が数枚入っている。机の上には一冊の本とペン、インクに紙が数枚置かれている事が多い。
高架。
また、高架からは稀に電車が通過する音が聞こえる事がある。しかしながら、この音は飛行機の発動機音と同程度の轟音であり、尚且つこの音は階層内で殆ど減衰すること無く空気中を伝わる為、極めて不快な騒音として、階層特性も併せて放浪者の精神に多大な悪影響を与えている。また、音がしている最中も高架上に走る電車を見つける事は出来ず、給電線も存在しない事からどの様にして饋電しているのかも不明である。
霊廟
霊廟の中央から撮った写真。
高架に沿って丸一日程進んでいると必ず「霊廟」にたどり着く。霊廟は所謂「ルーローの三角形」と言われる様な構造をしていて、天高く聳え立っている。霊廟からは高架が120度間隔で放射状に延びている。その様な構造上、高架に沿って進んで霊廟にたどり着く確率は半々の筈であるが今の所高架に沿って進んだ放浪者は例外無く霊廟にたどり着いている。この事が何を表すのかは不明であるが、霊廟とは違う方向に沿って進んだ場合に未知の危険性が存在する可能性がある。
霊廟の内部は外と打って変わって、コンクリート等により建てられた均整のある建物で、照明はランタンでは無く完全に電化された近未来的な照明である。泉には睡蓮の葉が浮かんでおり、葉の上に錆びた銀貨が放置されていて、それを凝視すると泉の水底には大量の金銀財宝や象牙の彫刻が沈んでいる事に気づく。内部は微かに金木犀の匂いが瀰漫していて、放浪者によると「とても落ち着く匂い」との事である。内部は無数の部屋で出来ており、一つの部屋の中に銀で出来た壺が数十個置かれている。これらの壺に刻印などは無く、中には白くサラサラとした極めて滑らかな細かい粉が壺の半分程の高さまで入れられている。また、中には銀では無く金や白磁で出来た壺もあり、前者の中は微かに薔薇の香りがする水で満たされている。その水の表面には一輪の小さな花が浮いている事もある。
白磁の壺には蜂蜜や牛乳が入れられており、それらは強い甘みと僅かな酸味があり、極めて美味であると放浪者からは評判である。これらは完全栄養食であると考えられており、これのみを食料としてLevel 104 Nに長期滞在する放浪者も存在する。また、銀の壺の粉の中には種々の副葬品が混じっている事もある。多くはルビーやエメラルド、サファイアにトパーズといった宝石1、獅子や騎士の刻まれた金貨、金や銀で出来た小さな指輪等の宝物が確認されている。稀な例では、巨大なダイアモンドが付けられたプラチナ製のティアラや木製のロザリオ、小さなルビーの散りばめられた金の女神像等も確認されている。基本的には役に立たない物であるが、美しい宝石は精神衛生に良い影響を与える事があるので持っていくのも手だろう。また、現実世界で無くした結婚指輪を発見したという放浪者も存在するが、真偽不明である。
霊廟は上に際限無く伸びていて、4階に高架と繋がる線路が存在する。三本の線路は全て霊廟の中心を原点として伸びており、線路が全てくっ付いている。また、霊廟に滞在していると電車の走行音が聞こえる事があるが、不思議な事にこの音は一切反響すること無く直接放浪者の耳に届く様である。又、三方向から同時に列車の走行音が聞こえ、数秒経った後に列車が衝突したかの様な凄まじい音を耳にしたという報告も一件のみ存在する。
入口と出口
階層への入り方
- Level 39 Nの橋を越えていき、道なりに街道を進むとやがて湿気が増し始める。そのまま進み続けると、黄土色の煉瓦の塔が林立する王国に辿り着き、そのまま街道を進み続けると霧は勢いを増していき霧に包まれたまま進み続けるとやがてLevel 104 Nに到達する。
階層からの出方
- Level 104 Nの薔薇園に地下洞窟が存在する事があり、それの下部には洞窟へと通じる穴が開いていて、洞窟の中は巨大な濁りのない紫水晶が成長していて、非常に美しい。その洞窟は途中から帯水していて、進むたびに凍てつく冷気が充満していきそのまま進み続けるとLevel 415 Nの氷河に辿り着く。
以下の報告は明らかな矛盾を含んでいます
この情報は信頼性が低い情報が含まれています。未知の退出経路について言及されている為原文をそのまま掲載しますが、十分に情報を吟味し、細心の注意を払ってください。
又、この報告について情報をお持ちの方は報告をお願いします。
可能な限り早急に必要事項を把握し、階層から脱出してください。

