私は次の三つの考えを持っています。
- The Backrooms は、際の空間の画像へと、その際性を上手く深めるような設定を付与して、その際性に浸って楽しむ創作である。
- 際の空間は、孤独感があり、不安感と超現実感と郷愁感のいずれかがあるものである。
- The Backrooms JP Wiki は The Backrooms のサバイバルガイドである。
これが、以後の批評の前提になっています。
危険度について。危険度 N/A は "Level 10 N" と "Level 12 N" と "出口" と "奈落" に続けて五番目であり、これらの記事は超現実性に比重が置かれている傾向にあると私は感じます。この記事はどうなるのかと私は考えました。(視点1)
一つ目の画像について。一つ目の画像の右側の写真は高い際性があるものだと思います。しかし、それをぼかしていることで、際性が無くなっていると私は感じました。これにより際の空間の画像が持つ読者を惹き付ける力がなくなっています。更に、写真を二つ並べていることで、それぞれの写真の強みがなくなってしまっています。これで更に印象が弱くなっています。また、「このように、当階層は到達した放浪者によって大きく姿を変えることが判明している」という記述も、最初の画像は重要ではないと宣言しているもので、最初の画像の効力を弱めています。これらを総合して、この記事はつかみが弱いと私は感じました。
私は評価の基準として際性に重きを置いています。これまで私が The Backrooms JP Wiki で読んできた記事は最初の画像で際性を確保しているのが殆どでした。そして、その際性を文章で上手く発展させているかどうかを見る、というのが私の普通の評価の流れでした。ひるがえって、この記事は最初の画像で際性を確保できていません。後の画像で際性を確保するのか、それとも文章だけで際性を確保するのか、それに私は注目しました。(視点2)
「概要」節について。「 Level 66 N は放浪者が最も鮮明に記憶している空間である」と「 Level 66 N から脱出するためには、ある行動を取らなければならない」が私の頭の中に入りました。一つだけ、「 A が最も鮮明に記憶している夜の空間」と「 A が最も鮮明に記憶している昼夜を問わない空間が夜に変化した空間」のどちらなのかという細かすぎる疑問が、ふと湧いてきました。
「階層の特性と脱出方法」節の冒頭から二番目の画像までの部分について。「 Level 66 N から脱出するためには、これまで知覚した記憶のない箇所を知覚することである」が私の頭の中に入りました。 Level 66 N からの出方について説明を前にもってくることに私は違和感がありませんでした。サバイバルガイドとして役に立つものにするためには、重要な情報をフォーマットに囚われずに前に持ってくるべきだからです。具体的に例を挙げて説明し始めたのにも違和感はありませんでした。しかし、その書き方が異質なものだと私は感じました。「自宅の洗面所を思い出して欲しい」とありますが、これにかなりの違和感があります。「ある放浪者は、 Level 66 N が自宅の洗面所となった。この放浪者は洗面台の天板の裏側を見たことがないのに気付き、そこを覗き込むと次の写真のようになった」とだけ書くだけで済むし、その方が理解しやすくなるはずです。それを、わざわざ読者を引っ張り込むような書き方になっていて、とても無理矢理だなと感じてしまいました。これは大きなマイナスポイントだと私は思ってしまいました。
二番目の画像について。とても良いものだと私は感じました。ただし、この画像は空間の広がりを感じるようなものではないため際の空間ではありません。なので、最初の画像が際の空間を提示するもので、二番目の画像が其の一部として最初の画像を発展させるものだったら、二番目の画像の際性がより活かせたのではないかと、私は思いました。
二番目の画像から空間の変遷の分類の冒頭までの部分について。「 Level 66 N の知覚した記憶がないというのは、視覚だけではなく、味覚と聴覚と触覚に関する記憶も含む」と「 Level 66 N と Level 99 N との関連性」が私の頭の中に入りました。
空間の変遷の分類から「 Level 66 N での注意点」節までの部分について。「 Level 66 N は、次第にバグっていく」と「 Level 66 N には注意すべき点がある」が私の頭の中に入りました。「 Level 66 N には注意すべき点がある」という情報は記事の冒頭で提示するべきものだと私は考えていますので、少し違和感がありました。
「 Level 66 N での注意点」節の冒頭から三番目の画像までの部分について。「記憶の空白を探るのではなく、既に記憶の中にあるものへ手を加える形で未知の感覚を得ると、その記憶が実際の記憶を塗り潰してしまう」が私の頭の中に入りました。これは大変いやらしいと感じました。
三番目の画像から五番目の画像までの部分について。恐怖と嫌悪感を感じました。これは良いホラーだと私は思いました。特に五番目の画像が恐怖でした。
「物品」節について。「 Level 66 N の中の物を持ち出すと別の物に変化する」が私の頭の中に入りました。直前で提示された情報と相俟って激しい嫌悪感を感じました。それと共に、人間や動物などを持ち出すとどうなってしまうのかと想像しました。
「入口と出口」節について。「 Level 66 N の影響を受けた人間は、記憶が無意味になるまで Level 66 N に何回も入る」とが私の頭の中に入りました。「 Level 66 N に奪われたものを取り返そうとしているのか……」と、そんなことを思いました。そして、最終的には、これまで積み重ねたものが無意味になってしまう、それが蟻地獄みたいで大変恐ろしいと感じました。
この作品は、「具体的に例を挙げて説明しよう」の段落に大きな違和感を感じたものの、それ以外はホラーとして良いものでした。
しかし、 The Backrooms の階層だと考えようとすると、際の空間の要素が全くないことが、私にとって大きな問題です。二番目の画像には際性がありましたが、それは空間でありませんでしたし、最初の画像は「ぼやけ」と「一つではなく二つ」と「キャプション」がネックになって効果が極めて少なくなっています。
視点2の箇所で書いたように、画像で際の空間を表現できていないとしても、文章で際の空間を表現する方法もあります。これはかなり例外的ですが、 "奈落" はこれに当てはまると思います。しかし、この作品では、恐怖感と嫌悪感を強く感じましたが、それらの要素が大きすぎて孤独感あるいは不安感あるいは超現実感あるいは郷愁感に浸ることが出来ませんでした。いうなれば、叩き起こされるような感覚でした。
視点1の箇所の表現を使えば、この作品は恐怖感に重きを置くものだと私は感じました。そして、恐怖感は The Backrooms の主軸ではないと私は考えているのです。
- この作品を読んで、私は際性に浸れませんでした。
- この作品を読んで、私は「具体的に例を挙げて説明しよう」の段落に大きな違和感を感じました。
- この作品を読んで、私は重要な事項が最初に説明されていないことに小さな違和感を感じました。
この三つを理由として、私は down vote を投じました。
一つの作品としては良いものなのに、 The Backrooms の一部だと考えると良いものではないという、このウィキでは初めて遭遇したケースであったため、長くなってしまいました。すみません。